プロローグと言う名の痛い回想

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「隊長、目標を捕捉しました」 コップの底を繰り抜いただけの粗末な望遠鏡を覗く小さな軍曹から報告がある。いや将軍だったっけ。どっちでもいい。かっこよさげなら。 「うむ」 俺は偉そうに組んでる腕をほどいた。 視線の先には井戸の水を組むナタリー嬢。色づいた小麦畑色の髪、どんぐりみたいな瞳、バラ色の頬が可愛らしく、隊員の中でも人気のあるレディ(十歳)だ。 皆はもう所定の位置についている。今日こそ我がリック隊の悲願、彼女のパンツの色は何色だ? 作戦を成功させなければならない。 「では作戦決行! いっけえぇぇえ!」 「うおぉぉぉお!」 曹長だか伍長だかが雄たけびを上げ突撃いていく。ナタリー嬢はようやく異変に気付き、顔を上げた。が、遅い。俊足の曹長は既に彼女のスカートの裾を掴んでいる。 今日こそもらった! 隊員共々歓喜に浮かれたその時だった。 近くの大木から人影が舞い降りた。次の瞬間には曹長は地に伏し、その上で彼を踏みつける何者かが不敵な笑顔を浮かべていた。 「ほう、スケベ共。余程懲りないとみえる」
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