名前が一緒

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店の中に入って席についても、事あるごとに柏木さんを見てしまう。 佐伯と話している時も。 気を使って俺に話しかけてくれたり。 細かい所まで。 未来との似ている所を見つけようとしてしまう。 そのせいで未来の笑顔と柏木さんの笑顔がリンクして…。 「柏木。何か飲もうぜ!」 佐伯がその名前を呼んだだけで。 驚くくらい動揺して。 コップを落としてしまった。 柏木さんの心配そうな声に涙が出そうになる。 未来…! 「大丈夫ですか?」 ギュッと。 柏木さんに抱きしめられた。 甘い香りに包み込まれる。 その女性特有の甘い香りが未来を思い出させて。 堪えきれなくなり、情けないくらいに泣いてしまった。
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