―僕の幼馴染み―

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教室の入り口を見つめながら修二が続ける。 「そういやあの子、今日は迎えにこないのか?」 「あの子……?」 「一年生の子だよ。釘宮美怜(くぎみや みれい)。お前の可愛い幼馴染み」 「あぁ……」 修二はそんな親しくない人間の名前を、フルネームで呼ぶことが多い。 昔からの口癖みたいなものらしい。 「いつもならホームルーム終わる頃には教室の外で待ってるのにな。なに、喧嘩でもした?」 「……別にそんなんじゃないよ。たまたま用事でもあったんじゃないの?」 「冷たい言い草だなぁ。可哀相だとは思わないわけ?」 「あのね……言っとくけど僕と美怜は修二が期待しているような関係じゃないからな。いつも一緒に行動しているみたいな風にとられても困るんだ。だからもうこの話は終りだ」 椅子から立ち上がり鞄を手に取る。 修二はそんな僕を見て意外そうな顔で聞いてきた。 「あれ……?お前らって付き合ってるんじゃなかったの?最近になって、またよく二人で行動してるじゃんか。俺はてっきり去年の終り頃、二人の間に進展があったもんだと思ってたんだけど」 「だから……」 続けようとして、馬鹿馬鹿しいと感じた僕は答えるのを止めた。この場合、幾ら証言したところで自分が不利になりそうな気がしたからだ。 修二はそういう僕の反応を見るのが、きっと楽しいのだ。
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