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あの日と同じだ――
美怜の声が僕の耳に届く。
「ごめんなさいっ……。弦先輩、ごめんな――さい……」
ああ、そうか――
「私、一人になりたくないんです……」
本当に……
本当に僕は、大馬鹿野郎だった――
「弦先輩は、約束してくれたから……。だから、いいですよね――?」
なにも変わっちゃいなかったんだ。
美怜はやっぱり、美怜のままだったんだよ――――
「先輩の血を、吸わせてください――」
最後の力を振り絞って、美怜の頭を優しく撫でる。
上手く笑顔を与えてやれているだろうか。
確信はなかったが、僕は笑い続けた。
美怜は泣き笑いを浮かべたまま――
美怜らしい笑顔を湛えたまま――
僕の首筋に牙を突き立てた。
††††††
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