たった一つ、伝えたい言葉

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「さぁさぁ、腹ァ決めたらどうかね?山岡剛くん?」 「う、うるせぇ!!」 いつも通りの昼休み 私たち3人は茜の机を囲んでトランプをした 今日はババ抜き、あとは剛くんが茜のどちらかを引けばゲーム終了 「うーん、こっちだぁ!!ってウワーッ」 「よっしゃぁー!!澤口茜大しょーり!!」 相変わらずババ抜きで負けちゃう剛くん 負けても私に微笑むのあなた、何を思っているのかわからないから私はいつも不安になる 「おーい、茜ー美樹ー」 夕暮れ、日もおちかけ薄暗い帰り道 グラウンドを通ると野球部の剛くんはいつも声をかけてくれる 「今帰りか」 「まぁね、美樹が英語わかんないって言うから付き添いで」 「剛くんはまだ練習あるの?」 「いや、もう終わり。片付けしてたら2人が見えたからさ」 いつも通りの剛くんの笑顔 「じゃあ一緒に帰らない?待ってるから」茜の誘いに剛くんは少し悲しそうな顔で 「遅くなるからいいぜ?夜道は危ないしさ」 って言う。なんか私の時の表情とは違う気がする… 「そ、なら帰るわ。また明日」 剛くんに背を向け、手を挙げる茜 「おう」 と嬉しそうに手を挙げかえす剛くん 「山岡ー、片付け手伝えよー」 「あ、悪ィ悪ィ!」 そんな剛くんの背中を、私は寂しげな目で追った 「あれ?茜は?」 この日茜は外国人のお母さんの実家に遊びに行っていて学校を休んでいた 「そっか、なら今日は初めての2人だな」そう言って笑顔肩を組む剛くん、多分私がものすごく緊張したなんて判らないだろうな… お昼はいつも通り屋上でお弁当 あんまり剛くんのお弁当が美味しそうだったから、思わずおねだりしてみた でも剛くんは嫌な顔せず、私の玉子焼きと交換してくれた 「やっぱり剛くんのお弁当美味しいね!」 「美樹の玉子焼きもうまかったぜ?」 「本当!?それ私の手作りなの…」 恥ずかしそうに言う私の頭を剛くんは「いいお嫁さんになりそうだな」って笑顔で撫でてくれた
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