序章、出会い

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ある夏の日。 その日私は、不幸としか言い様がなかった。 …全財産…を使いきる。 …暑い。 …暑い。 …暑すぎる。 あ、私の名は伊達刹那。一応仙台藩当主の娘。 わけあって家出してきたんだけど…。 それにしても…。 京都暑すぎ。 倒れる。 東北と近畿で温度違い過ぎでしょ。 あー くらくらする。 めまいが…。 京都に来た理由も…。何となくだったりするわけで。 あー 何で近畿なんて選んだんだろ。 そう思い込んでいるうちに…。 グゥゥ~ あれ?何で腹の音が…。 あ、そっか。私一昨日からお金ケチって御飯食べてなかったんだっけ。 …あれ?暑さの次に空腹でめまいが…。 ヤバイ。次はお腹空きすぎて倒れそう。 どうしよ…このままじゃ…。 誰か…誰か食べ物を下さ~い。 あ。心の中で叫んでも意味無いか。 あはは。 私はそのまま京の町をさ迷った。 「新選組…屯所…?」 私がたどり着いたのは、町で噂の“新選組”の屯所だった。 新選組って…おまわりさんだよね。 つまり… 空腹を助けて貰えるかもしれない。 〓 〓 グゥゥ~ …あ…もう駄目だ。空腹と暑さで… 力が抜け… パタッ …て。倒れてしまった。 そしてしばらくすると。 ?「平助君今日とばしすぎだったよ?」 ?「何回も言うけどさあ…俺総司が言うほどとばしてねえし!」 若い男の声が聞こえた。 これ…逃げた方が良いのかな。でも… …ま、いっか。めんどくさいし。 その若い男達が私の存在に気付くのに、そう時間はかからなかった。 ?「あれ?何、この人間みたいなの。」 グリグリグリっ ?「人間みたいなのって言うかこの倒れてるの人間だよ!総司!痛そうだし…そんな踏みつけんなよ!〓」 いや。あんたが思う以上に痛いけど…。 …ああっ。そ、そんなグリグリ足回すの止めて。本当に痛いから。 〓 倒れたまま踏まれてる。 あーあ。この状況、いつまで続くんだろ。
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