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その言葉に悠一の父は頷く。
さらに腕を組み、言葉を続ける。
「そう。芹沢流古武術を用いて……だ。その由緒ある古武術を学んできたのだ。俺はたくさんの人に学んでもらいたい。そしてそれを是非軍で役立てて欲しい。常々思っている」
悠一は聞き慣れた話なのか欠伸をして聞き流している。
「その芹沢家の末裔であるおまえが当主になる気がないのであれば聖鍵姫のもとでその武術を役立てるべきじゃないのか?」
性格自体はかなり砕けているが家柄を大事にしようとするあたりはやはり根は厳格なのだろう。
しかし、この言葉に悠一は黙っているはずもなく反論する。
「とりあえずは今更進路は変えられないし聖鍵学校には通う。だが俺は当主になる気も軍に入る気もない!」
力強く言い放った悠一に父もまた力強く答える。
「それでも由緒正しい芹沢家の末裔か!?」
「由緒正しい由緒正しいって……。お家自慢はうんざりなんだよ! 聖鍵学校に行ったところで軍に入る以外の進路はある。軍になんか誰が入るかっ!」
「~~~~!!」
この言葉に父は顔を真っ赤にしたが何も言い返さなかった。
そして二人はお互いの顔を睨み付け合う。
「……もうこうなったら」
そこで悠一が口を開いた。
「あぁ……。道場へ行くぞ」
悠一の父も続いて口を開く。
何だかんだで武術で決着をつけるようだ。
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