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そして何だかんだで翌日……。
入学式のため悠一はかなり早く起きていた。
「……」
ベッドから体を起こし、カーテンを開け、日差しを浴びた後、新調した深緑色の制服に着替える。
ちなみに手足に湿布やらが貼られているが昨夜の父との決闘のせいだろう。
着替え終わり、何となく昨夜のことを思い出していた。
結果はボロ負け。
むしろ一本入っていたかすらわからない。
ボーッと空を見ていたら目覚まし時計が鳴り出し三秒で止めた。
(負けはしたけど誰があんなオヤジの言うことなんか聞くか! 俺は俺のやりたいことをする!)
悠一はベッドから立ち上がり、少し大きめの黒い手提げ鞄を持ち、一階へ降りて行った。
途中、階段とリビングルームの間で父親と遭遇するが目は合わさなかった。
リビングに入るといい匂いが鼻をくすぐる。
「おはよう。悠一」
「おはよう母さん」
エプロンをつけ、食卓から少し離れた台所にいる母親に挨拶をして座布団に座り、ちゃぶ台の上の朝食をとる。
「……どうするの?」
母親も台所から歩いてきて悠一の向かいに座った。
「寮で暮らすよ。あそこ、寮あるみたいだし」
悠一はそう言って味噌汁を啜る。
「そう。お金の事なら心配しないでね」
「ありがとう。ご馳走さま」
悠一はそう言って洗面所へ向かった。
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