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洗顔と歯磨きを終え、リビングルームに置いてあった鞄を持ち、そのまま玄関に向かう。
母親が見送りに来てくれた。
「じゃあ行ってくるよ」
「たまには帰って来なさいよ」
悠一はそれに笑顔で応じるとドアに手をかけた。
「……気をつけて行け悠一」
丁度トイレから出てきた父親が悠一の背中に声をかけた。
悠一はバツが悪いような表情をしてドアを開ける。
「行ってきます父さん、母さん」
両親は悠一を笑顔で見送った。
聖鍵学校までは電車を使わなければいけない。
ここから一番近い駅まで徒歩十分くらいで着くため、普通に歩いていく。
自分の青色のスライド式携帯電話を取り出し画面を見るとメールが着ていた。
(父さん……?)
名前の所に芹沢幸一と書かれたメールを開く。
゙頑張ってねぇん(^w^)゙
という内容で悠一はハハハと笑った。
返信はせずに携帯をポケットにしまい、また歩き出す。
まだ春だが雪は全て溶けている。
自動販売機を見つけたので飲み物を買おうと近づいたが悠一は足を止めた。
「段……ボール?」
悠一は自動販売機の横に、ちょっと癖のある黒髪ロングで紫色が基調で赤い花柄の浴衣のような和服を着た少女が三角座りで段ボールの中にすっぽりと収まっていたのを見て思わず声を出してしまった。
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