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(え? ちょっと待てよ!? え? マジ? 捨て子? でも……)
などと頭が混乱しているとその少年の視線に気付いた少女は段ボールをもう一つ取り出しそれを被り、完全に外界と遮断した。
そして一言話しかけてくる。
「ねぇ……」
悠一はキョロキョロと周りに誰もいないことを確認して完全に段ボールと化した少女を見る――もっとも、完全に隠れてるため見えないが――。
「俺?」
「そうそう」
少女はチラッとだけ顔を見せた。
肌が白く、目が少し大きめの可愛らしい少女だ。
「てか何で段ボール?」
「外は人が多いからよ……」
「なるほど。じゃ」
悠一はこれ以上関わってはいけないような気がして足早に去ろうとするがガシッと後ろからブレザーが引っ張られる。
振り返ると段ボールから身を乗り出していた少女の姿があった。
悠一をものすごく睨んでいる。
「な、何すか?」
「この制服さぁ、聖鍵学校のでしょ?」
振り返った悠一を確認した少女は制服から手を離し段ボールから出て立ち上がった。
160くらいの少女は170くらいの悠一を軽く見上げる形となる。
「今日入学式なんだよな」
「じゃあさ私も聖鍵学校連れてって欲しい」
「その恰好で?」
悠一は思わず少女の着ている紫色の着物を指差した。
祭りをやっているわけでもないのでかなり目立つ。
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