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人が沢山いるとはいえ、十分歩くスペースはある。
悠一は切符を買い改札を通ろうとするが、
「何これ。私の邪魔する」
瑞希が改札を通ろうとしていた。
切符もなしで。
もちろん改札は行く手を阻む。
後ろにはサラリーマン的な人が沢山つっかえていたので慌てて悠一は瑞希を引っ張り出し、切符売り場まで連れて行く。
「知ってるか? あれ通るには切符を買わないといけないんだぜ?」
悠一はぴらっと自分の切符をなぜか決め顔で見せる。
だいたいこうなることは予想していたのであまり驚かない。
「ほら」
瑞希に切符をもう一つ買ってやる。
サラリーマン的な人達が改札を通ったのを見計らって自分達も改札に向かう。
「いいか? この切符はここに入れるんだ。ちゃんと表にしてな」
悠一は自分でやって見せて改札を通った。
瑞希も悠一を真似をして改札を通ってくる。
「おぉ……! 凄いね!」
これに瑞希ははしゃいでいた。
悠一はそれを見て苦笑する。
(こんな世間知らずがいるとは思わなかった。さて、次に柊が驚くとすれば……)
悠一はチラッと瑞希を見る。
「!」
丁度電車が来た。
ブレーキの音のせいで耳鳴りが起こる。
瑞希に至っては耳を塞いでいた。
「ほら。これに乗るぞ?」
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