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ここは帝国護衛団本部。
朝から怒号が響いていた。
「何ぃ!? 姫がいなくなっただと?」
長いスラリとした金髪の男性は無線に怒鳴りつけていた。
会議室か何かだろうか何人か書類整理していた人達は彼の怒鳴り声によりビクッと肩を振るわしたがすぐに何事もなかったように作業を再開する。
「それで? どこに行ったかはわかるのか?」
「゙すみません……゙」
男性はすぐに冷静さを取り戻して無線の相手に静かに尋ねるが相手から返ってくる返事は期待外れの物だった。
「姫が奴らに見つかれば大変な事になる……。仕方がない。もし一週間以内に連れ戻せなければプランBに移行する」
「゙イェッサー!゙」
そこで通信を切り、自らの机に座りため息をついた。
「完全に脱走できないように警備していたはずなのだが……」
男性はそう言いながらも自分の机に積まれた書類に目を通す。
「そこの!」
「はい!」
男性に指名された若い女性が彼の机に近づいて敬礼をした。
「すまんが城崎を呼んでくれないか?」
「イェッサー!」
そう言って女性は部屋から出ていった。
しばらくすると髪をオールバックにして整えてカチューシャをした紺色の髪で右目にモノクルをつけた男が部屋に入ってきて机の前で敬礼した。
「帝国護衛団第三部隊隊長。城崎慎一郎デス。お呼びデスか? 東條団長」
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