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時間は昨夜に遡る。
………
……
…
星が見え、三日月が道を綺麗に照らすほど快晴な夜。
「はいぃぃぃい!?」
芹沢道場と書かれた看板が貼られてある木造の家から少年の叫び声が響きわたる。
「近所迷惑でしょ悠一!」
エプロンを着た黒髪ストレートの中年女性が叫び声の主、黒髪短髪癖っ毛少年こと芹沢悠一に注意する。
「俺……騙された?」
「いや、騙してなどいない! 父さんはな。おまえにこの道場を継がせたいと思っている……」
悠一の父親であろういかにも厳格そうな風貌のこの男は腕を組んで頷いた。
ちょび髭があり髪も薄く、ランニングシャツに短髪で筋骨隆々としたこの男は見るからに一世代前の人のようなオヤジである。
「しかぁぁし! おまえにその気はないとわかった。だがせめて、せめて小さな頃から培ってきたその武術を生かさんとして何とするぅぅぅ!?」
目から炎が出そうな勢いで荒ぶり、ちゃぶ台を叩きつけ、立ち上がる。
ちなみに三人はちゃぶ台を囲んで座っていた。
「だからって、別に聖鍵学校じゃなくてもいいだろ!」
負けじと悠一も対抗してちゃぶ台を叩いて立ち上がる。
「聖鍵学校は何か知らんが他の学校より安いしぃ。入試とか免除だしぃ」
「その入試免除に釣られた俺がバカだった……」
悠一はため息をつく。
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