31人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、まだ続きそうなら母さんは寝るわね~」
まだこの話し合いが続きそうだと判断した悠一の母親は早々にリビングルームから出ていった。
それを視線だけで見送った二人はお互いを睨み付ける。
「だいたいちゃんと自分で確認しないおまえが悪い!」
「……ぐっ!」
悠一は痛いとこを付かれたようで一歩後ずさる。
「ぶっちゃけおまえに花屋とか似合わないしぃ」
父は口元を若干吊り上げて嫌味ったらしく言い放った。
厳格なイメージだったが性格は全く厳格ではない。
むしろその逆である。
「……じゃあ何なら似合うんだよ?」
「似合うんじゃなくて俺のあとを継げ!」
「だが断るっ!」
悠一の父親は芹沢道場の当主であり息子である悠一に継がせたいと思っている。
しかし、当の悠一本人は全くその気がなく、花屋になりたいと思っていた。
「だいたい俺は武術とかそういう争い事嫌いなんだよ……」
悠一はドカっと座布団の上に座り、あぐらをかいて頬杖をついた。
「芹沢流古武術……。この武術がどれだけ由緒正しい武術か忘れたと言うのか?」
悠一の父親も静かに語りながら座り、悠一とちゃぶ台を挟んで向かい合わせに座る形となった。
「あーはいはい。先祖様が精霊と一緒に聖鍵姫に仕えてたんだっけ?」
最初のコメントを投稿しよう!