ただ、怖いと泣く君に

1/4
前へ
/15ページ
次へ

ただ、怖いと泣く君に

   沈む夕陽。  2人で砂浜に座って、眺める。  遥は、すごく悲しそうな……それでいて、穏かな顔をしていた。  その表情からは、彼女が何を考えているのか見当もつかない。  きっと遥も、俺がこんなことを思い出しているなんて、思いもしないだろう。  俺だって、別に思い出したかったわけじゃない。 「尚人……ありがとう」  急に、遥が顔を上げた。  俺は、驚いて……何か言おうとしたけれど、 ──ここに、連れて来てくれて……  そう、はにかむ彼女の頭を…… 「どういたしまして」  そっと撫でることしか出来なかった。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加