♯終わりがはじまる

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   あの日。 ──今から一年近く前。  どけだけ眺め続けても、決してその姿を変えることのない、四角い機会都市。  それらに言いようのない圧迫感や切迫感を感じ、うんざりして、無性に何かへの救いを求めていた頃。  都会の喧騒から逃れたくて、二人、迷い込んだ田舎電車。  どこに行くのかも、どこに行きたいのかも分からず乗り続けていれば、やがて辺りは都会では見たこともない色彩に溢れ……二人を癒やす、沢山の『色』に覆われていった。  どこが目的かも決めず、それが何かも分からない場所で、それでも……あるはずの『何か』を求めていたのだ。  あの日も二人、隣りに並んで。  
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