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――あの時、俺は、何故、答えを出さなかったのか。
何度、胸中でそれを繰り返したことだろう。
少なくとも、もう回数なんか分からない程に唱え続けてきたことは間違いない。
今更考えても、今更悔やんでも、もう遅いことなんかとうに分かっている。
それでも、考えずにはいられないんだ。
面倒だったのか、その状況に満足していたのか、もう……今となっては、思い出せないけれど…………どうして俺は、あの日、彼女の想いを察することが出来なかったのだろうか、と。
きっと……きっと、今の俺と同じだったろう、その想いを。
あの時、感じ取っていたならば……今、こんなことにはならなかっただろうか?
同じ疑問を抱え、同じ質問を投げ掛けては、いつも繰り返す『わからない』……その不透明な答えに、俺はいつだって頭を抱え、悔しさに泣く。
あの時の自分は、なんて子供だったのだろうか。
なんて考えなしの、子供だったのだろうか……
考えたところで仕方がないと分かってはいても、自分からは目を背けられず、自分の声には耳を塞ぐことも叶わず、自分以外を責める術も持たない子供は、自己嫌悪からは逃れられなくて。
いつだって、子供な自分を悔やんできた。
だけど、あの日から……俺達は成長した。
だからといって、あの日に出来なかったことの全てが出来る様になったのかと言えば、決してそんなことはない。
あの日に分からなかったことの全てが、一部の暗さもなく分かる様になったのかと言えば、そんなこともない。
成長したなんて言葉は、結局は主観でしかなく。
所詮、高校生の自分の成長なんて、たかが知れていると思う。
だけど、今なら──
今なら、あの時の彼女の想いが分かる。本当に、そうしても良いと思えるんだ。
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