プロローグ

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人が人に嫌われる それは例えば相手に意味もなく暴力を振るうとか あるいは相手の信頼を裏切るとか さらにあるいはただ馬が合わないとか 人が人に嫌われるっていうのはそれはもう日常的なことだ だけど人は人からではなくとうとう世界からも嫌われてしまったようだ いつのまにかこの世界の空気や水は人間にだけ牙を剥く嫌素という謎の成分を含むようになった 嫌素を吸った人間以外の生物は人間を目の敵のように襲うようになった 初めにそのことに気づいた人達はもう何百年も前に他界した でも彼らは今を生きる我々のために沢山の発明を残した その一つがこの我々が住む人工無機生命体『ドーム』である その大きさは1つの都市並みである ドームは今確認されているものでは例外なく昆虫の形をしているらしい それは開発当時生きるすべを心得ていそうな生物をモデルにしようという考えからだそうだ そして生まれたドームはその役目どうり人々の安住の地となった だがドームの誕生から数年ドームを壊そうとする生物が生まれた 『嫌獣』である 嫌獣は大型トラックくらいの大きさでドームと同じく昆虫の姿をしている 当時の文献は現代にほとんど残っていないためこれ以上のことはわかっていない
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