プロローグ

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そんな文章が書き連ねある教科書に自分の涎がつくのも構わずに爆睡している友人の右頬を軽くつつく 反応なし さらに強くつつく やはり反応なし 思いっきりつねる 友人の顔に不快に歪み、徐々に瞼が開いてくる 瞼が半分ほど開くと機嫌が悪そうに、机の正面にぶら下がるように屈んでいる俺を見る 続いて自分の右頬を目だけを動かして確認すると机の上に投げ出されていた両手が動きだし俺の両頬に添えられる そして自分にされているのと同じように俺の両頬を強くつねる 「~ッ!」 予想以上の痛さに俺は声にならない悲鳴を上げる 「イタイイタイイタイ、痛いから!」 「先にやったのはお前だろ? 人の安眠邪魔しやがって… さっさと離しな」 「悪かったよ、離すからロイも離してくれよ」 ロイの右頬から手を離すと俺の頬からロイの手が離れていく まだ微かに残った痛みがジンジンする頬を擦りながらロイを見る 垂れ下がった目、ボサボサな茶色い髪、それなりに引き締まった体 いつもと変わらぬ友人の姿だ 「俺の眠りを妨げたんだからそれに見合った用件があるんだろうな?」 いい夢でも見てたのだろうか、怨めしそうに睨んでくる 「次の授業体術だから親切で起こしてやったのにその態度はないだろ?」
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