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恵梨は細い手首にまかれた腕時計に目を落とした。 「どうした、これから用事?」 「あ、ごめん、これからパパとママと食事なんだ」 「東京に来てるんだ?」 恵梨は宮城の良家のお嬢さんだった。 今は東京で一人暮らしをしていて、両親が出張で東京に来ると決まって共に食事をしていた。 「うん、じゃあ急ぐから、旅行についてはまた話そう」 そう言って、恵梨はピンヒールを鳴らしカフェから出ていった。 僕は残ったコーヒーを飲み干し、クーラーのきいたカフェを後にした。
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