1人が本棚に入れています
本棚に追加
恵梨は細い手首にまかれた腕時計に目を落とした。
「どうした、これから用事?」
「あ、ごめん、これからパパとママと食事なんだ」
「東京に来てるんだ?」
恵梨は宮城の良家のお嬢さんだった。
今は東京で一人暮らしをしていて、両親が出張で東京に来ると決まって共に食事をしていた。
「うん、じゃあ急ぐから、旅行についてはまた話そう」
そう言って、恵梨はピンヒールを鳴らしカフェから出ていった。
僕は残ったコーヒーを飲み干し、クーラーのきいたカフェを後にした。
最初のコメントを投稿しよう!