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もうじき7時になる頃だった。 角を曲がれば、僕と美波の家のある住宅街に入るところまで来ていた。 一歩踏み入れると自転車を手で転がし、学ランを着た男の子とセーラー服を着た女の子が美波の家の前にいることに気がついた。 どう見ても高校生のカップルだった。そしてその女の子はどう見ても美波でしかなかった。 男の子は自転車に跨がり、女の子に別れの挨拶をしているようだった。 お互いに手を振り、男の子は僕を横切って角を曲がっていった。彼は荷台のついたシルバーの自転車に乗っていた。 僕は自分の家の門に手をかけ、女の子の方に目を向けた。 美波の家の前には、もう誰もいなかった。
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