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『スイカいる?』 それだけだった。 『いる』 僕は美波の家に向かった。 「お邪魔します」 声をかけ、リビングルームに入るとダイニングテーブルに赤いスイカが並んでいて、一つの椅子に美波が座っていた。 「いらっしゃい、圭ちゃん」 ふいにキッチンから老けた美波が顔を出した。美波の母親である。 「おばさん、スイカありがとうございます」 「いいのいいの、どうせ貰い物だし、いっぱい食べてね」 おばさんに微笑み、美波の向かいに座って切られたスイカを手に取った。 美波は林檎がプリントされたTシャツと黒のハーフパンツに着替えていた。
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