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それに対して女のほうは相変わらずの様子で、
「それは私に勝ったら教えてアゲル☆」春也を弄ぶようにこう言った。
その瞬間春也のイライラは頂点に達した。
春也は責任感が強く、周りの信頼も厚かったが、プライドも人一倍強かった。そんな彼が一週間もの間得体の知れない女に一方的に監視まがいのことをされたのだ。怒りが湧かないわけがない。
「・・・に・・・て・・・!」
「ん?なんて?」
「・・・そこに立て!」
春也の激昂した声。こんな声は人生で初めて出した。無論、和大をはじめ野球部のメンバーが知るはずもない。
「・・・は~い☆」
春也が素振りをしようと学校から持ってきたバットを持ち、右バッターボックスへ向かう女。
こうして春也と謎の女との勝負が始まった―
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