-違和感-

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いーっちに!さーっんし! いっちにさんしっ!にーにっさんしっ!! ―春。新三年生になった青葉春也(しゅんや)はグラウンド中に響き渡るこえでランニングの指揮をとっていた。 「バッティング~!」 春也のその一言でバッティング練習が始まる。 だが春也は一人ブルペンに向かう。そこにはキャッチャーミットを片手にストレッチをしている男子がいた。 「今日もやるぞ、和」 「おうよ!いつでもいいぜ~」 ここ金戸中学校野球部は部員数10人という小さすぎる野球部である。強いわけではないし特別有名選手がいるわけでもない。しかし弱いわけでもない。実際、三月に行われた大会では地区予選を突破し県大会二回戦までいった。 だがそれはこの二人選手の活躍によるものと言っても過言ではなかった。 青葉春也。金戸中野球部主将でエース、さらには五番打者も務めている。文字通りこのチームの大黒柱である そしてその女房役の田中和大(かずと)。陽気な性格だが技術と頭のキレはチームトップ。またこのチームの四番打者でもある 彼らは週末の試合に向けて投げ込み中心のメニューを組んでいた。
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