7人が本棚に入れています
本棚に追加
試合といっても商店街の草野球チームとの交流試合だ。金戸中野球部では年二回、春と秋に行われていて、それがもう伝統になっている。
―バシン!
ミットの乾いた音が鳴り響く
「今日もキレてんな~!じゃあ次カーブ!」
「・・・ああ・・・・・」
和大から返されたボールを右手に持ち替えた春也はどこか落ち着かない様子だった。
「ん?どうしたハル?まっすぐ、もっとやっとくか?」
和大がそう聞くと
「イヤ・・・そうじゃなくて・・・」
春也はためらいがちに続けた
「何か最近誰かに見られてるっつーか、なんつーか変な感じがするんだよ 特にピッチングしてる時に」
すると和大は
「ファン・・・クラブだと・・・?俺じゃなく春也に・・・ファンクラブだとぉぉ!!」
泣きそうになっていた。
「落ち着け和、ファンクラブならもっと見やすい場所つまり俺達からも見られやすい場所にいるだろ普通。」
最初のコメントを投稿しよう!