-正体-

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―翌日、朝から空は灰色の雲に覆われていた。午後からは雨も降るそうだ。 昼休みが終わり、そして案の定雨が降ってきた。部活が始まる直前だった。 「たっは~ ツイてね~な~雨かよぉ・・・」 和大は雨が大嫌いだ。理由は簡単、野球ができないからだ。 「そうボヤくな和。よし!みんな集合してくれ!」 その一言で昇降口に散らばっていた野球部の全員が一気に集まる。周りから信頼が厚い春也だからこそできる技だ。 「今日はグラウンドが使えないから陸上部と合同で30分間走だそうだ。5分後に始めるから各自しっかりアップしとくように!」 「「はい!」」 春也自身もアップを始める。そこへ・・・ 「よぉ春也 相変わらず野球部は素晴らしい連携だな。陸上部のやつらにも見習ってもらいたいね」 と言ってやってきたのは金戸中学校陸上部主将の永石貴博(たかひろ)。400mの選手で県大会にも出場している注目スプリンタ-だ。 「たいしたことないさ。こっちとしては陸上部のほうが羨ましいよ。人数も多いし設備も充実してるしな」 「設備は先代の産物だよ。野球部だって県大会の常連になればOBからの寄付だって貰えるようになるよ」 金戸中陸上部は27人と2・3年生が150人の金戸中の中では一番人数の多い部活で、トラック競技の強豪だ。5年前には男子が400mリレーで全中にいったこともある。 「なら今後の野球部のために俺達も頑張らないとな」
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