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ぼくは、臆病者だった。
結局、ぼくは世界のうねりに流されるままに彼女の手を離してしまった。
たとえ、彼女が自らの夢の為に自ら進んだ道であったとしても、彼女を引き止めなかったのはぼくだ。
ぼくは全て知っていたのに。どんな結果が待っているのか分かっていたのに。
それでもぼくは彼女を引き止めなかった。
世界のうねりを言い訳にして、彼女の夢に全ての責任をなすり付け、ぼくはぼくを正当化させることだけしか考えなかった。
ぼくは彼女への想いより、ぼくが汚れないようにすることを優先してしまった。
……そのせいで、この様だ。
もう、ぼくの貧乏ゆすりも、右親指の爪をかむくせを咎める彼女はここにはいない。
ぼくにのこされたのは、彼女の足と彼女と一緒に遊んだおもちゃのロボットだけ。
ぼくのそばにはだれもいない。ぼくにはもう、なにもできない。
……だから、ぼくは。
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