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さて、次のボーナス。
そう思い、ガタノトーアの頭部カメラを残り三機のHAへ向ける。案の定、自身の敵が『レッグ・イーター』であることを悟った連中は、敵前逃亡で報酬が減算されることを忘れ、必死で俺から逃げようと後退、苦し紛れの弾幕を放つ。
いいね、いいね。
遠くから弾を放ち、自分の命を危険に晒すことをしてこなかった人種が、初めて死に直面し、恐怖、絶望する。俺の転落カテゴリーの中でも上位ランクに位置するシチュレーションだ。
俺は弾幕をくぐり抜け、一目散に逃げようとした青の機体に照準を定める。狙われた敵は驚いているだろう。どうして俺が一番先に? と。
そんなの、お前が絶望する瞬間を想像するのが楽しくて楽しくてたまらないに決っているからだ。
何をいまさら、と思いながら、俺は敵の脚にフラガラッハの牙を食い込ませようとした刹那、
ヴァン……
聞いたことも無い音とともに、俺の視界がぐらりと揺れる。世界の色が逆転する。目の前の青の機体が紅に、黄土色の大地が青に、灰色の空が黒に染まる。
なんだ?
当然の疑問が俺の脳裏に浮かぶが、その疑問は一瞬で解決した。
俺の倒す筈だった青……今は紅に変わった敵が人の形を失い、玩具のブロックよろしくバラバラに分解され、地面に散らばっていた。
そして、本来紅がいた場所に立っていたのは、俺と同じく両手に刀を構えた桃色のHA……と思わしき物体だった。
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