第1章

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競技で行われるのは、個人個人の『戦闘』ではなく、集団対集団の『戦争』なのだ。 人数の有利は戦況の有利といって、過言ではないのである。 しかし、咲山流歌、夢音未来の所属する聖城学園戦争部の現部員数は、たったの2人。 その原因は、聖城学園戦争部に伝わる規則のせいである。 その規則とは、『現役部員にひと傷を与えられた者にのみ、入部資格を与える』というものだ。 規則が出来た当時はその規則を破らんがため、全国から猛者が集まり聖城学園は瞬く間に名門となった。 しかし時を経るに連れて、その規則を破れるほどの実力を持った新入生が現れなくなり、遂に部員は2人だけになってしまったのである。 「少数精鋭って聞こえは良いけど、やっぱり勝てなきゃ意味ないよね……」 流歌はため息をついて、再び机に伏せってしまう。 戦争部の戦闘競技には様々な部門があり、中には剣道の団体戦ような個人戦もある。 しかし、それには少なくとも3人の部員が必要であり、それにすら彼女たちは人数が足りないのである。 流歌の言葉に、未来はさらに苦笑を濃くした。 「だからねぇ? わざと負けちゃうのはだめだけどぉ、ちょっと手を抜いてあげよぉ?」 しかし、未来の提案にも、流歌は疲れたように首を振る。
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