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戦争部への入部条件は、ただ1つ。
制限時間10分以内に、聖城学園戦争部部長、咲山流歌 (さきやま・るか) に一撃を入れること。
「別に君達をナメてるわけじゃないけど、一太刀とは言わない。ひと傷で良いから」
その瞬間、集団が感じるのは緊張と苛立ち、そして僅かな恐怖だ。
50人を超える集団を前にして、たったひと傷与えるだけでよいと言い切るその自信。
それはある者に緊張を、ある者に苛立ちを、そしてある者には恐怖を与えた。
しかし集団は、それでも怯まない。
たった1人、か弱い少女を前にして、自分達がかすり傷すら与えられないなどありえない。
それは過信ではなく、自信。
そして何よりも、当然の見方だ。
いくら彼女に自信があるとは言え、魔法戦闘でこの人数を前にしてかすり傷1つ負わないなど、よほどの手練れでなければ出来ないことだからだ。
しかし。
彼女の瞳は、揺らがない。
自信でも慢心でもない。
それは、『当然』という感情が根幹にあった。
「じゃ、始めようか。よーい……スター――……」
ト、と、流歌が言い切る前に。
先頭に立っていた10人ほどが、彼女に一斉に仕掛けた。
それぞれが手に魔力を溜め、躊躇なく高速で迫る。
それを見て、流歌は一度小さく息をついた。
「血の気が多くて怖いなぁ……」
そして、もう一度袖を強く外側へ振る。
その瞬間、文字通り、彼女の目の色が黒から桃色へと変わり――――。
巨大な爆発が生じた。
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