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◇◆◇
「やっぱりあの程度なのかなぁ」
そんな風に吐き出すのは、傾いた陽射しの射し込む教室で、机に伏せる流歌だった。
それは決して独り言ではなく、前の席に座り、後ろを向いている女子生徒へ向けられたもの。
「るーちゃんが強すぎるんだよぉ。別に50人ぜーんぶ入ったって、まだまだ全国大会じゃ少ない方なんでしょお?」
彼女は明るい茶色に染まったセミロングの髪を揺らして、ゆったりと笑う。
大きく優しい雰囲気を持った瞳は今、可愛らしく弓になっていて、彼女のまったりした雰囲気を強くしていた。
彼女の言葉に、流歌は「そうだけどさー」と口を尖らせる。
2人以外には誰もいない教室に、それは大きく響いた。
「あんなの未来1人でも倒せるよー……」
「るーちゃん、高望みしすぎなんじゃないかなぁ? 人数いれば、色んな戦術取れるんだよぉ?」
伏せる流歌の額に自分の額をくっつけて、夢音未来 (ゆめね・みく) はにっこりと笑った。
「少数精鋭じゃあ、なかなか勝ち抜けないよぉ? そろそろ限界だよぉ~、るーちゃーん……」
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