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顔を真っ赤にさせて「もうコジ先輩なんか知りません!」って、立ち上がって愛読書のムーを手にとり、ズカズカと椅子の方まで歩いて行き、ドカッと腰を下ろしてめくり始めた。 (お前も大概バレバレだぞ) 俺にラブレターを送った奴と自分自身を重ねたのか、自分の意見を語る光黄の瞳は何だか寂しそうだった。 光黄も気になるところだけど、今は自分のことが最優先。 光黄の言う通り、このまま知らない振りすれば曜介にバレることも、変な噂が流れることはない。このことを知ってるのは、俺と光黄と告白した相手のみ。 (けどそれもなんだかなぁ…) 目を閉じるといつかの不機嫌な顔をした曜介と、泣きじゃくる曜介が浮かんだ。 「ごめん!遅くなった!」 扉が勢いよく開く音がして、俺は目を開いた。入り口に目をやると浦正と狂平、曜介が立っていた。  
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