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「あ、これだな」
一冊だけノートを見つけてそれを抜き出すと、ポツンと封筒が姿を現した。
赤園虎次郎様
と、綺麗な字でそう書かれていた。
どう考えてもこれはラブレター、だろうか。ドクンドクンと心臓の音は速まるばかり。
見ちゃいけない。わかってるよ。わかってる。当たり前じゃないか。
だけどコジにラブレターなんて、一体誰が?気になる?気になるだろ?もう封も開いてるし、バレないよ。
天使と悪魔が衝突し合う。勝者はまさかの悪魔で、俺は無意識にその手紙を開いていた。
「曜介ー!ノートあったかぁ?」
遠くからコジが呼ぶ。体がビクッとなって、俺は咄嗟に鞄に入ってた雑誌を手にした。
「あ、あぁ。コジ、この雑誌面白そうだな。今度貸してくれ」
「…いいけど。それ、クロスワードだぜ?」
コジはクツクツと肩を揺らして笑ってて、狂平は
「クロスワードか、面白そうだな」
と目をキラキラ輝かせている。あぁ、こんなことなら漫画にすればよかった…
『好きです。気持ちを伝えたかっただけです。勝手でごめんなさい。』
全てを読んだわけじゃないけど、その文だけははっきり、鮮明に頭の中に残っていた。
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