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階段を一段飛ばしで駆け上がり、チャイムと同時に教室に飛び込んだ。窓際の一番後ろの席に座る浦正が「コジ、はよー」って手を振ってきたから、小さく手を振り返しておいた。幸い、まだ先生は来ていない。
曜介の席の横を通り、自分の席に向かうと
「また夜更かししてただろ」
と、ちょうど曜介の席を通り過ぎたところで声を掛けられ「ご名答」って、顔だけ振り向き、ニカッと笑って、そのまま自分の席に着いた。
鞄から必要な物を一通り取り出し、まだ先生が来ていないことを確認してからポケットから先ほどの封筒を取り出し、そっと封を開けた。中にはシンプルな真っ白い便箋に、丁寧な字が並べられていた。
赤園虎次郎様、というところから始まり、そしてそこにはやはり恋文らしい内容が綴られていた。
今時の若者がわざわざ手紙を書いて気持ちを伝えるなんて、なかなか渋いことをしてくれる。
内容は至ってシンプルだけど「オシャレな虎次郎先輩がとてもかっこよくて、大好きです」とか「笑顔が素敵です」とか。
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