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こんな純粋でストレートな告白には免疫がなくて、思わずこっちが恥ずかしくなった。 先生が入ってきて、慌ててそれを机の中に突っ込んでノートを開いた。未だに熱は引かない。 右手はまだ顔を覆ったままで、それを不審に思った先生が「赤園、気分でも悪いのか?」と心配そうに声を掛けてくれた。 気分は悪くない。寧ろよろしいです。だって人から好きだと手紙でだけど告白されたんだから。 文の最後に差出人の名前がはっきりと書かれていた。その名前に全く見覚えはなかった。 このラブレターには返事の要求はなく、ただ 「好きです。気持ちを伝えたかっただけです。勝手でごめんなさい。ありがとうございました。」 と、締めくくられていた。 彼は一体どういうつもりで俺にこんな手紙を書いて、靴箱に入れたんだろうか。 何を思い、何を求めているんだろうか。 考えれば考えるほどわけがわからなくなって、俺は心配する先生を益々心配させるかのように、ガクッと机に突っ伏してしまった。  
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