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大体拗ねる、なんて言ったけど、これもおかしな話なんだ。
本人は知らないだろうが、曜介なんてひっそりファンクラブが存在するくらいだ。告白だってされている、と曜介本人からではなく、噂で何度も耳にしている。敢えて問い詰めないのは、曜介が断ったという事実もついでに耳に入ってくるから。
大体曜介相手に一々そんなことで嫉妬して拗ねて怒って喧嘩してたらキリがないし身がもたない。
まだ俺たちが高一だった頃。中学の時に仲の良かった女子に告白されたことがあって、親友関係にあった曜介に相談したら、急に曜介の機嫌が悪くなって、次の日口をきいてくれなかった、なんてことがあった。だから、できることなら曜介の耳に入れたくはない。
「何の為に光黄にこんな話したと思ってんだよ」
「……自慢」
「おい、お前。生意気にも程があるぞ」
ほっぺを両手で横に引き伸ばしてやると「いひゃいでふ」と暴れた。少しして離してやると軽く睨まれた、ような気がしたけど知らないふり。
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