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「そこよ!」
ヨルが手を振る。
黒い刃がその指先から伸び、何もない空間を薙いだ。
いや、その空間が歪み、そこから胸を押さえたミハイルが姿を現した。
ヨルの魔乖咒によって上着が切られ、めくれた布の下の浅黒い肌はわずかに傷ついていた。
ミハイルは自らが傷つきながらも、やはり楽しそうに笑みを浮かべていた。
「驚きですねぇ~。私の居場所がどうしてわかったのですか?」
「わたしは魔力の気配に敏感でね、あなたのその忌々しい魔力は一度見れば、目をつぶっててもわかるわ。おまけに、この街中にはわたしの仕掛けた探索用魔乖咒もある。これだけ接近すれば、あなたの隠れ蓑がどれだけ高性能でも、だいたいの居場所はわかるわ」
「クックック、さすがですねぇ。やはり、あなたは早めに潰しておくほうがよさそうです」
ミハイルは、だが余裕たっぷりな態度を崩さなかった。
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