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窓の外で、数羽の雀が、可愛らしく囀る。
その声で、須内輪太(スノウチ リンタ)は夢から覚めた。
(うん……?)
その瞬間、急激に消え去って行く夢の余韻。
(あ……)
輪太の心に、ぽっかりと穴が空いた。
良く覚えてはいなかったが、何だかとても、綺麗な声の響く夢だった。
(朝か……)
輪太は上体を起こし、右手にあるはずのカーテンへ手を伸ばす。
そして、ふわりと柔らかなカーテンの感触を掴み、サッと引っ張った。
六月三日の朝。
初夏の太陽が、輪太の肌をひりひりと照りつけた。
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