六月三日、朝の歌声

6/6
前へ
/40ページ
次へ
輪太は、二人のやり取りに頬を緩めながら、母の料理に舌鼓を打った。 今朝は味噌汁に、鮭のムニエル。 輪太は、他のどんな食べ物よりも、母の料理が好きだった。 「輪太」 と、掠れた声が聞こえる。 「何、お父さん?」 「父さん、明日休みだから、久々に輪太のギターが聴きたいな」 「本当? うん、いいよ!」 輪太は嬉しそうに答えた。 「うふふ、じゃあ今日は、お勉強の後に、しっかり練習しなくちゃね!」 母も柔らかな声で言った。 「うん!」 輪太は何故か、今日の勉強まで楽しみになった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加