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画面に企業のロゴマークが表れて、設定画面が現れた。
「へぇ~。携帯って設定なんてするものなんだ……」
俺はてっきり、友達の持ってる画面みたいなところに直行するのかと思ってた……
「えっと……ナビゲーターの性別?」
なんだそりゃ。
ああ、あれか。
時代は進化したんだな。
これはきっとあれに違いない。
ロック○ンEXEのPETと同じようなものなんだ。
この設定をすると、目覚ましを設定したときとか着信が来たときに知らせてくれるキャラクターができるんだな。そうに違いない。
そうと決まれば、やっぱり女性のナビのほうがいいよな。
「性別女……っと」
次の設定項目が出てきた。
ナビゲーターの容姿を設定します。ご希望のナビゲーターを想像つつ、赤外線センサーを眼球に向けて下さい。
「なに……」
俺は、驚いた。
「俺の妄想が……現実になるだと!」
なんて事だ。
俺が長年願っていた『俺専属の美人メイド(可愛い系)さん』が、実態はないとはいえ現実になるというのか。
さっそく想像……もとい妄想した。
髪は…短いほうがいいな。そんで藍色っぽい感じ。
そんで、目はちょっとキツイ感じだけど優しくって、ぐふふ
いま、欲望にまみれた人間によって、皮肉にも純粋な存在が生まれようとしていた。
『スキャン完了しました。』
5秒くらい携帯の先端の赤外線の出る黒いところを熱いまなざしで見つめていたら、俺が想像していたものとまったく同一の声が聞こえてきた。
画面を見てみる。
「ッ!!」
なんてことだ……
「結婚してください」
『無理です』
ああ、可愛い。
「すごいな、今の携帯はこんなのになってるのか」
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