1.別れ

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白い車……白い車……。 あ、あれかな? 小崎駅の真ん前に止まっている小さな白い車。 他に車などないし、あれに違いない。 俺は息を1つ大きく吸ってから白い車の助手席のドアをノックした。 するとカチャとドアロックが外れる音がした。 「あなたが携帯の人?」 眼鏡をかけた女の人が俺に声をかけてきた。 「は、はい。これですよね?」 俺は助手席に座ることなく、携帯電話を女の人に渡した。 「そうそうこれ。本当にありがとう」 「じゃあこれで」 俺はドアを閉めて家に帰ろうとした。 「ちょっと待ってよ。お礼くらいさせてよ?」 「お礼……ですか?」 「あ。もしかしていやらしいこと考えてる? だったら残念。何か美味しい物でもおごってあげるわよ。 それとももう食べちゃった?」 俺はその誘いに凄く戸惑った。 確かにタイミングがいいことに俺はご飯を食べていない。 だけど普通初対面の男を誘うか? それとも俺が意識し過ぎなだけだろうか。
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