16人が本棚に入れています
本棚に追加
白い車……白い車……。
あ、あれかな?
小崎駅の真ん前に止まっている小さな白い車。
他に車などないし、あれに違いない。
俺は息を1つ大きく吸ってから白い車の助手席のドアをノックした。
するとカチャとドアロックが外れる音がした。
「あなたが携帯の人?」
眼鏡をかけた女の人が俺に声をかけてきた。
「は、はい。これですよね?」
俺は助手席に座ることなく、携帯電話を女の人に渡した。
「そうそうこれ。本当にありがとう」
「じゃあこれで」
俺はドアを閉めて家に帰ろうとした。
「ちょっと待ってよ。お礼くらいさせてよ?」
「お礼……ですか?」
「あ。もしかしていやらしいこと考えてる?
だったら残念。何か美味しい物でもおごってあげるわよ。
それとももう食べちゃった?」
俺はその誘いに凄く戸惑った。
確かにタイミングがいいことに俺はご飯を食べていない。
だけど普通初対面の男を誘うか?
それとも俺が意識し過ぎなだけだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!