1.別れ

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「今日は本当にありがとうございました」 「いーえ。こちらこそ楽しかったわ。 何か私の若かりし頃を思い出したわ」 「舞子さん、充分若いじゃないですか」 「あら、おだてても何も出ないわよ?」 でも舞子さんは本当に知的で美人な人だと思う。 眼鏡と黒髪のショートカットが良く似合っている。 「そういえば、ツバキ、新歓やるんだって?」 「ええ、そうですけど」 俺が答えると舞子さんの顔が若干険しくなった。 「お酒には十分気をつけなさいよ? 何かあったら私を呼びなさい。車出してあげるから」 俺は舞子さんのその申し出に驚いた。 「何で、そんなことしてくれるんですか?」 俺と舞子さんはついさっき知り合ったばかりだ。 そんな俺に何で舞子さんはここまで世話を焼いてくれるんだろう。 「私自身、苦い思い出があってさ」 「苦い思い出?」 「それについてはまた今度。 とにかく新入生がお酒飲み過ぎないように注意すること」 何か上手くかわされてしまった気がするが、舞子さんの言うことも最もだ。 当日は幹事である俺がしっかりしないとな。 幹事か……。 柚香も一緒だけど大丈夫かな。 柚香はそんなに酒に強くない。 変な後輩に無理やり飲まされでもしたら……。 って、俺はもう柚香の彼氏じゃないしいらない心配……か。
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