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「今日は本当にありがとうございました」
「いーえ。こちらこそ楽しかったわ。
何か私の若かりし頃を思い出したわ」
「舞子さん、充分若いじゃないですか」
「あら、おだてても何も出ないわよ?」
でも舞子さんは本当に知的で美人な人だと思う。
眼鏡と黒髪のショートカットが良く似合っている。
「そういえば、ツバキ、新歓やるんだって?」
「ええ、そうですけど」
俺が答えると舞子さんの顔が若干険しくなった。
「お酒には十分気をつけなさいよ?
何かあったら私を呼びなさい。車出してあげるから」
俺は舞子さんのその申し出に驚いた。
「何で、そんなことしてくれるんですか?」
俺と舞子さんはついさっき知り合ったばかりだ。
そんな俺に何で舞子さんはここまで世話を焼いてくれるんだろう。
「私自身、苦い思い出があってさ」
「苦い思い出?」
「それについてはまた今度。
とにかく新入生がお酒飲み過ぎないように注意すること」
何か上手くかわされてしまった気がするが、舞子さんの言うことも最もだ。
当日は幹事である俺がしっかりしないとな。
幹事か……。
柚香も一緒だけど大丈夫かな。
柚香はそんなに酒に強くない。
変な後輩に無理やり飲まされでもしたら……。
って、俺はもう柚香の彼氏じゃないしいらない心配……か。
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