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「連絡先交換しとこうか」
舞子さんはそう言って、携帯を出す。
俺もポケットから携帯を出した。
「へぇ、その子が柚香ちゃん? 可愛いじゃん」
「は、はぁ……」
待ち受けをもろに見られてしまった。
早く変えとかないとな……。
「よし、受信完了っと。 じゃあツバキ、また会おうね」
「はい、舞子さん今日は本当にありがとうございました」
舞子さんは左手をあげて答えてくれた。
俺は舞子さんの車が見えなくなるまで見送った。
携帯で時間を確認する。
3/24 0:45
もう、柚香に振られた昨日ではない。
これから俺は1人で自分の道を歩いて行く。
そう思うと胸をわしづかみされたような感覚に襲われる。
寂しい、会いたい。
そう思ってしまう。
『今日だけは泣いていいよ』
すいません舞子さん……。
やっぱり自分は、弱くて情けない男みたいです。
ぽた……ぽた……。
涙は携帯の液晶に落ちていき、笑っている柚香をにじませた。
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