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無我夢中で走っていた俺は何かを思い切り蹴飛ばしてしまった。
カランカランと無機質な音をしてその何かは吹っ飛んでいった。
周りの人の目もその何かに集まる。
俺は仕方なくそれを拾いに行った。
それはピンク色の携帯電話だった。きっと誰かが落としたんだろうな。
俺は何気なくそれをポケットにしまった。
今は携帯よりも自分のことで頭がいっぱいだった。
柚香に振られた。
こんな日が来るとは夢にも思わなかった。
ほんの一週間前までは上手くやっていた。
それが何故……。
俺はしばらく頭を巡らせていたが、1つ思い当たる節があった。
つい先日、俺はサークル内の女の子と買い出しに行った。
柚香は前から束縛が激しかった。
前々からサークルの中で女の子と1対1で話すのも嫌がっていた。
買い出しに行ったその日、柚香から電話が来た。
『なんで私がいるのに他の女の子と買い出しに行くの?』
その買いだしは今度の新歓の時に使う物だった。
俺らにとって初めての後輩。盛大に祝ってやりたかった。
その準備の為に買う物がたくさんあったのだ。
最初は女の子に任せていたのだが、1人じゃきついだろうと俺が手助けに行ったのだ。
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