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『柚香も友希(ともき)もバイトだったから仕方なかっただろ』
『そんなのいい訳じゃん!!』
俺はその言葉に少しカチンときた。
柚香はバイトを優先しがちで新歓の打ち合わせにもあまり顔を出さなかった。
そんな柚香に新歓のことをあれこれ言われたくない。
『何にも分かってない柚香に言われたくない』
『……ツバキなんかもう知らない!!』
そのまま電話は切られてしまった。
あれ以来、今日まで連絡は取っていなかった。
新歓の準備が忙しすぎたのだ。
「おい兄ちゃん、ボサっと立ってんじゃねーよ」
「あ、すみません」
サラリーマン風の男は舌打ちをしてから去っていく。
俺は何をしているんだろう。こんな街中で……1人で……。
あの時、俺が柚香にちゃんと説明していれば……。
今も、隣に柚香がいたのかもしれない。
何て俺は馬鹿なんだろう……。
どうして失ってから気付いてしまうんだろう。
今からじゃもう、取り返しがつかないのに。
俺は失意の中、家まで帰った。
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