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ようやく気付いたのか、麻里と沢田先輩は観察をやめ、
もんじゃを焼く作業に戻ろうとした。
しかし時すでに遅し。
幸助は俺達のテーブルの前で止まったかと思うと、俺を睨みつける。
「まさかまた会うとはね」
「何の用だよ」
「いや別に。目障りな奴が視界に入りましてね」
本当にこいつは一々癪に触る奴だな。
俺は内心かなり苛立っていたが、無視を決め込んだ。
「何こいつ。ぶっとばしていいの?」
「さ、佐伯先輩やめてください!!」
俺と友希が今にもつかみ掛かりそうな佐伯先輩を慌てて抑えた。
「部員の非礼をお詫びします。
本当に申し訳ありません」
大宮先輩が立ち上がって頭を下げる。
幸助はそんな大宮先輩を一瞥し、ふっと笑った。
「何だ、まともそうな奴もいるじゃないか。
こいつらとは違うようですしね」
幸助が俺らを見下すような目で見る。
佐伯先輩がもがく力が強くなってくる。
正直、もう限界だった。
すると、大宮先輩が頭を上げた。
「私の部員達を悪く言わないでください。
それに柚香も大切な部員です。
何か酷いことでもしたら、私はあなたを許しません」
幸助は何か言いたそうな顔をしていたが、
わざとらしく舌打ちを残して、席に戻った。
「……さぁ、皆食べましょ!!」
大宮先輩は明るく振舞ったがその後の食事はどこか空気が重かった。
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