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「本気ですよ?」
夏奈は俺の目を真っすぐに見つめてきた。
本気……というのはさっきの言葉に対してだろうか?
夏奈はさらに言葉を続ける。
「ツバキ先輩のいいところ、私はたくさん知ってます」
「……逆に夏奈は俺の悪い所知らないだろ?」
俺がそう言うと夏奈は数秒考えた後頷いた。
「……確かに知らないです」
「良いところだけじゃない、悪い所も分かりあっていかないと。
友情は勿論、恋愛だってそういうものだよ」
「じゃあ先輩の悪い所もたくさん教えて下さい」
「悪い所は教えたくないけどな」
「先輩のケチ!」
ケチって……俺は苦笑した。
普通悪い所なんて見せるものじゃないだろ。
それでも……。
自分でも何でか分からないけど……。
夏奈とこうやって話していると凄く楽しかった。
同時に、夏奈のこともっと知りたいとも思えてきた。
俺も酒を飲み過ぎたのかな……。
「じゃあ気を付けてな」
「はい、ありがとうございました!」
俺は家の前で夏奈と別れた。
帰り道、誰もいない右側が少し寂しかった。
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