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「あれツバキ君? 先輩が飲みほしたのに……」
「持ってていいのかな?」
俺は思い切ってビールを喉の奥に流しいれた。
慣れない苦味が俺を襲う。
「ツバキ先輩、頑張って下さい!」
夏奈も自分のカクテルを空けた。
俺も最後の力を振り絞って、飲んだ。
そして叫んだ。
「俺は……柚香がホントに……
好きだったんだぁー!!」
声の出る限り叫んだ。
「ホントにホントに、ホントに……
大好きだったんだ!!」
佐伯先輩が俺の方をポンっと叩いた。
「いいねぇ、ツバキ!
よし、美代ももっと飲め、そして脱げ!」
「黙れよ、短小」
ボソッと沢田先輩がつぶやく。
沢田先輩は酔いが回ると急激に毒を吐く。
佐伯先輩は一気に小さくなった。
俺は大声で笑った。
笑って笑って、腹がよじれるほど……。
笑った。
そして俺は昨日出した答えが間違ってないことを確信した。
やっぱり俺は周りに恵まれている。
舞子さんの言う通りだった。
俺は1人じゃない。
「せーんぱい?」
「どうした夏奈?」
「私にも構って下さい!!」
お酒が入ってるのか、やけに甘えてくる。
そんな夏奈の頭を俺は軽く撫でた。
「えへへえへへ」
「ツバキ先輩、夏奈のこと頼みますね」
梓ちゃんがウインクを飛ばしてくる。
頼むってどういうことだよ……。
舞子さんも前に言ってたな……。
『ツバキには夏奈ちゃんみたいな子がいい』
実際、俺は無邪気に笑う夏奈に少し心がときめいた。
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