4.揺れる気持ち

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* 「ツバキ、まだ終わってないの? 締め切りもう2日後だよ!」 「後5ページだから!!」 麻里に急かされなくても分かっている。 結末を考えている間にどんどん日にちだけが過ぎて行ってしまった。 結局、舞子さんに会う時間すら取れなかった。 あの写真のこと聞きたかったのにな。 『仕方ないね。締め切り間に合わせなよ』 舞子さんに断り文句を入れるのは心が傷んだ。 だけど……ここだけは頑張らなくてはいけない。 「じゃあなーツバキ、友希。 俺達は1年誘って合コンだからよ」 坂井がニヤニヤしながら俺と友希の肩を叩く。 俺と友希は一発ずつ腹に入れた。 麻里によると俺達2人を除いたらもう皆提出してしまったみたいだ。 俺達も1年の頃は2週間前には終わっていたのに……。 「よっし、俺終わった! お先に!」 「あ、ちょっと友希! まだ……」 友希は原稿を麻里に押し付けると、慌ただしく部室から出ていった。 麻里は髪をかきあげてからその原稿に目を通す。 「……まぁ、いいか。ほら後はツバキだけよ」 俺は頷いて、がむしゃらに書き綴った。 「……何か、ごめんね」 その時不意に麻里が謝ってきた。 「何で謝るんだよ。 原稿を預かるのが麻里の仕事だろ?」 「そっちじゃないわよ。ゆずのこと。 本当にごめん」 麻里は深々と頭を下げる。 俺は何のことかさっぱり分からなかった。 「お、おい、麻里。何なんだよ一体」 「ゆずね、本当にツバキのこと、好きだったんだよ。 いつもツバキのこと話してた」 「……へぇ」 それは俺も同じだった。 友希や坂井に聞かれる前に俺から話していたくらいだ。 それ程、2人で過ごした毎日が、楽しかった。
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