16人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は久しぶりにゆっくり映画で見るかな。
そんなことを考えていた時だった。
「わっ!」
校門脇から突然大きな声があがり、
俺は思わず尻もちを付いてしまった。
「ツバキ先輩、かっこわるいです!」
「夏奈……?」
そこにはお腹を抱えて笑っている夏奈がいた。
「帰ったんじゃないのか?」
夏奈はもうとうの昔に原稿を麻里に預けている。
今日も梓ちゃんや沢田先輩達と帰ったはずだったが……。
「いやぁ、ツバキ先輩のお祝いをしてあげようかと思いまして」
「お祝い?」
「はい、原稿完成したんですよね?
おめでとうございます!
という訳でラーメンおごってください!」
夏奈はぺこっと頭を下げた。
「こういうのって、夏奈がおごってくれるものじゃないのか?」
「私ここでけなげに待ち続けたんですよ?
寒さにふるふる震えていました」
わざとらしく夏奈は体を震わす。
それに夏奈の服もすっかり薄手になっている。
「来週からもう7月だぞ」
「てへへ、でも一緒にご飯食べましょう!」
まぁ確かに腹は減っている。
ラーメンも久しく食べてないし、いいかな。
「よし、食べに行くか」
「やったです! 時代はとんこつラーメンです!
とんこつの波が私に襲いかかってきてます!」
相変わらず、どこかずれているんだよな。
でも夏奈といるのは楽しい。
最初のコメントを投稿しよう!