4.揺れる気持ち

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今日は久しぶりにゆっくり映画で見るかな。 そんなことを考えていた時だった。 「わっ!」 校門脇から突然大きな声があがり、 俺は思わず尻もちを付いてしまった。 「ツバキ先輩、かっこわるいです!」 「夏奈……?」 そこにはお腹を抱えて笑っている夏奈がいた。 「帰ったんじゃないのか?」 夏奈はもうとうの昔に原稿を麻里に預けている。 今日も梓ちゃんや沢田先輩達と帰ったはずだったが……。 「いやぁ、ツバキ先輩のお祝いをしてあげようかと思いまして」 「お祝い?」 「はい、原稿完成したんですよね? おめでとうございます! という訳でラーメンおごってください!」 夏奈はぺこっと頭を下げた。 「こういうのって、夏奈がおごってくれるものじゃないのか?」 「私ここでけなげに待ち続けたんですよ? 寒さにふるふる震えていました」 わざとらしく夏奈は体を震わす。 それに夏奈の服もすっかり薄手になっている。 「来週からもう7月だぞ」 「てへへ、でも一緒にご飯食べましょう!」 まぁ確かに腹は減っている。 ラーメンも久しく食べてないし、いいかな。 「よし、食べに行くか」 「やったです! 時代はとんこつラーメンです! とんこつの波が私に襲いかかってきてます!」 相変わらず、どこかずれているんだよな。 でも夏奈といるのは楽しい。
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